YAMAHA マグザム 修理&整備

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YAMAHA マグザムの修理です!

エンジン始動後10分程度の走行で水温警告ランプが点いてしまうという症状です。

中古で購入された車輌で今まで特に冷却系統のメンテナンスをした記憶はないとのこと・・・

これはちょっとイヤな予感がします・・・

 

スクリーン、フロントパネルを外すとラジエターキャップ、リザーバタンクにアクセス出来ます。

イヤな予感は的中してしまい・・・

ラジエターキャップは錆の混じった泥水のようなものでドロドロ・・・

リザーバタンク内も真っ茶色&ほぼ空っぽという状態でした・・・(汗)

リザーバタンクの蓋についているホースにまで錆が頑固に付着しております・・・(汗)

 

ドレンボルトを開け冷却水を排出します。

出てきたのは泥水のような液体でした・・・(汗)

量もほんのちょっとしか出てきません・・・

さすがにこれでは空焚き状態となり水温警告ランプが点いてしまうのも何ら不思議ではない状況ですね・・・

オーナー様との打ち合わせの段階では単純な冷却水不足による症状なのであればとりあえず補充で様子を見るというリーズナブルな選択肢も出ていたのですが・・・(これまでノーメンテナンスだったということを考えればとてもオススメ出来る手段ではありませんが)

ここまでの状態ですと冷却水の補充や交換だけではとても済みそうにありません。

まずは冷却系統の洗浄作業を行うことになりました。

 

ビッグスクーターはカウルに覆われているので整備をする時は大変です(汗)

フロントカウルを取り外しようやくリザーバタンクにアクセス出来るようになりました。

フロントフォークインナーパイプの錆も酷いですね(汗)

普段はカウルでほぼ見えない箇所なので気が付きにくい部分です(マグザムは特にカウルで覆われている&車高が低いので・・・)

 

冷却系統の洗浄が出来る特殊なケミカルを混ぜた冷却水を注入し、エンジンをかけてじっくり内部を洗浄していきます。

無事にラジエターファンも回り一安心していたのですが・・・

ラジエターファンがいつまで経っても止まりません・・・

さすがにおかしいと思いラジエター周辺を触ってみると、全く熱くありません・・・

どうやら冷却水がラジエターまでキチンと回っていないようです(汗)

洗浄作業だけではなく分解し原因を探す作業も追加となりました・・・

結果としてはサーモスタットも錆まみれ、さらにはウォーターポンプカバーの細めのホースが入るパイプも完全に詰まってしまっている状態でした(汗)

 

新品の部品を取り寄せて交換します!

左からウォーターポンプカバー、サーモスタット、ラジエターキャップとなります。

 

新しい部品を組み込み洗浄作業を続けます!

無事にラジエターまで冷却水が循環するようになり、ラジエターファンも水温の低下に伴って正常に止まるようになりました!

洗浄剤を排出ししっかり内部を水で洗い流した後、規定量の冷却水を注入・エア抜きをして水周りの整備は完了です!

 

前後タイヤ交換のご依頼もいただいたので続いてタイヤ交換をしていきます!

フロントはゴムタイプのエアバルブで亀裂が見受けられたのでこのタイミングで交換させていただきました。

フロントフォークインナーパイプもペーパーを当てて出来るだけ錆を落としました。

 

スクーターのリアタイヤ交換はマフラー等の脱着が必要なので基本的に大変なのですが、マグザムもバッチリ大変でした(笑)

今回は水周りの整備でカウルを外した状態からのスタートだったのでまだ気が楽ですかね・・・

 

リアブレーキパッドも交換します!

左が新品、右が装着されていたパッドです。

パッド部分が完全に使い切られ、金属の土台まで削られてしまっています(汗)

ここまで使い切ってしまうと金属の土台がブレーキディスクに大ダメージを与えてしまいます(汗)

数千円のパッドのせいで数万円のディスクまでダメにしてしまいます・・・

日頃から定期的にパッド残量をチェックして、こうなる前の交換が大切です!

 

カウルを組み上げて整備完了です!

N様大変お待たせ致しました。 ありがとうございました!

 

※2020年10月追記

修理後約一年間は全く問題なく動いていたようですが再び水温警告ランプが点灯してしまうようになってしまい、再度お預かりし冷却水を排出したところ冷却系統をあれだけ清掃したのは何だったのかと落ち込むほどの錆水が出てきました・・・(汗)

マグザムはフロント側に設置されたラジエターまで長いパイプで冷却水を循環させる設計となっていますが、おそらくそういったパイプ内の状態も非常に悪く清掃作業では取り切れない錆が普段の度重なる運行により再び冷却水に混じって蓄積し冷却通路の細い箇所で詰まりを発生させてしまうのかと思われます。

こうなってしまうとめげずに何度も不具合が出なくなるまで清掃作業→試運転を繰り返すか(何となくその期待は薄そうですが・・・)、根本的に冷却水パイプ等を全て新品に交換するレベルの修理をしなければ安心して乗れるようになったと言える状態にすることは難しい状況なのかもしれません・・・

とにかく冷却水及び冷却系統の定期的な点検整備・交換作業を行っていれば通常このように大量の錆が発生してしまうことはありませんので、やはり日頃のメンテナンスは重要ですよ!